命の長さ

「　痛みがね・・・ひどくてね・・・

　　　　　夜中に足を切って捨てたくなるよ　」

どれだけ聞いても、わかってあげられない痛み

「　今の痛み止めが効かなくなったら、モルヒネ　だろうね　」


「　長女の就職が決まったよ、次女も国立大学へ入ったし、そんなに頑張って働かなくても

　いいだろ　」

と言いながらも、「　今の治療がだめでも、次は・・・まだ諦めてないよ　」

「　死ぬことは怖くないよ、ただ、この痛みに耐えられなくなるのが嫌だ　」

すっかり暗くなった病院の駐車場で、彼の辛さをききながら

考えた

小さなことで、誰かを羨ましがったり・・・

欲しがったり・・・

恨んだり、悪口を言ったり・・・

腹を立てたり・・・

そんなこと、どうでもいいね


彼に気づかれると、怒られそうだ

そんな小さなこと、彼の痛みには比べられない





もう１０年以上、病気と闘ってきた彼

頑張って・・・とは言えなかった



飛べたらいいね・・・